管理人の日記、毎日のことやニュース、映画にドラマ、なんでもつらつら不定期更新。でもほとんどドラマの感想。
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これがきっと、「菜の花の彼」感想のラストになります。
14巻という長編だったけど先生方の連載休みがすごく少なくてものすごいちゃんとしたハイペースで発売されていた為、2014年の4月に1巻、2017年の9月に14巻でおよそ3年半という 少女漫画長編にしては意外と短い連載期間だったんだなあと今更ながらに気付きました。 その間、すごくワクワクして次が楽しみな時間をすごしてきました。 終わっちゃってからしばらくロスになっていたんだけど、この感想をもって私もこの漫画のけじめをつけようと思います。 菜乃花のこと。 私、この菜乃花という主人公ってかなり異端な主人公だと思うんです。 始まった時からその違和感は少しあった。 友達がいても心を開いていない、一人で行動していて平気。悩みを人に相談しない。何を考えてるか分からないと言われる。 これだけ書けば、そういうちょっと変わった女のコという設定なんだろうなと思うでしょう。数年前から流行っているぼっち設定みたいな。 でも違うんです。読んでみると、ものすごく「リアル」なんです。 こういう子いるし、特別な設定に思えないくらい、普通の子として描かれている。 ぼっちな主人公を面白く見せるというタイプの漫画ではないんです。空気感がリアル。 かといって少女漫画の主人公らしい「いい子」というのではない。 例えば普通の少女漫画なら、自分の事を好きだと言ってくれる他の男子に対して、「好きになってくれてありがとう、でも気持ちにはこたえられない」と言って断ったり もしくは二人の間で揺れている時ももう一人の好きではない男子に対してだって思いやりを持つ。それが少女漫画の主人公。つまり博愛なのです。 でも菜乃花は違う。鷹人のことを徹底的に隼太を惑わす「敵」と見なしていた時もあったくらい。 隼太のことを好きな時は、他の男子のことを全く見ない。 鷹人のことを好きな時は、同じように他の男子のことを見ようとしなかった。 ものすごく残酷なんです。 まったく博愛じゃない。 全体を通して、私は菜乃花という存在は、一つの作品の主人公ではなく 女の人が本気で恋をした時どこまで残酷になるか、というものを具現化したキャラだと感じるようになりました。 11巻で落ちる時、手を自分から離す決心をした理由は隼太にしかなかった。あの瞬間でさえ鷹人のことを全く考えていなかった。 自分が手を離す事で救おうとしたのは隼太のことだけなんです。 菜乃花は「いい子」じゃない。 少女漫画の主人公らしくもない。 だけど思いを寄せる相手にとってはとてつもなく一途であり、可愛らしく、自分だけに見せる表情をたくさんくれる。 少女漫画の男キャラで、ヒロインだけを好きで他の女には冷たいっていうタイプは鉄板的に人気が出ます。 が、ヒロインがヒーロー以外には冷たいっていう設定はほぼ無いと言ってもいい。 逆に少年マンガで主人公の男の子が、ヒロインにしか優しくしないというタイプがいないのと同じ事です。 そして少年マンガのヒロインでは主人公に対してしか喋らないとかえこひいきをするキャラは普通にいます。 つまり男向け、女向けそれぞれにおいて同性の主人公はみな博愛なのです。 みんなに好かれ、みんなに思いやりを持つ主人公の方が、感情移入して読んでいる読者にとって気持ちがいいからです。 だけど菜乃花は少女漫画というジャンルでその鉄板を破っている。 ある意味ラストまで隼太しか特別ではなかった。女友達でさえ大切な人という位置との壁はまったく超えないのです。 私はラストのメモ帳を見て安堵の涙を流した菜乃花で、ブツッと切るような終わり方をしたのも挑戦的だなと思いました。 これは私の勝手な想像ですが、この作品を通して 「恋愛とは究極的にいうと他者の排除である」という事を突きつけられたと思います。 みんなが好き、みんなに優しくしたい、人を好きになると優しくなれる、人を愛すると満たされる、とかそういう綺麗な部分を描いた漫画は沢山あるけど 残酷な面を強調しながらも恋愛物語としてワクワクさせられたのは初めてでした。 これは菜乃花が2部から主人公ではなかったからこそ出来た手法なんじゃないか、とも思います。 2部は鷹人が主人公だった。 報われない恋に何度もしがみつき、やり直し、どうにかならないかと諦められずみっともなくすがりついて、 相手の為にその恋を手放す選択をするまでの物語。 手放した後はスッキリ爽やかになるわけじゃない、忘れられるものでもない、友達に戻るなんてことできるわけない、存在も消せない こんな風にたった一人で抱えて生きていくしかできないものなんだ という事もすごくリアルだった。 桃森先生はハツカレで初々しい学生の頃にありがちな恋に恋する感じ、まだ異性といるより友達といる方が楽しい年頃の恋と 悪ラブでは人を愛することで救われることをマリアで、人の幸せを願う恋を神田優介で描かれたと思います。 いわゆる少女漫画の綺麗な部分です。 でも菜の花の彼は鉄骨先生が原作。桃森先生の作風とは真逆です。 これも勝手な想像ですが鉄骨先生はかなり恋愛経験が豊富な方なんじゃないかと。そしてその話の構成や作風も少女漫画というよりは青年漫画に近い。 だから所々リアルに感じたし、突き刺さったし、ちょっと今までにないような読者に考えさせたり読み取らせる感じがあった。 これが、菜の花の彼が好き嫌いの別れる作品であった理由じゃないかなと思いました。 ストーリーの構成や心理描写、伏線の置き方と回収は近年の少女漫画であまり見ないくらいよく出来ていたし、鷹人というキャラに至っては 熱狂的なファンがつくくらい魅力的で唯一だったと思います。 けれど同時に鷹人が嫌いだという人も少なからずいて、それくらい個性があった。 作品の出来からして私はもっと売れてもよかった作品だと今でも思います。 もちろん人気作でしたし、2017年の書店年間売上ランキングでは集英社少女漫画の中で菜の花の彼シリーズが6位という売れっ子。 最終巻の発売月はいろんな電子サイトで少年マンガ含めても1位をとったりしていました。 なので十分それなりに人気はあったと思いますが、私はもっとたくさんの人が知っていてもいい漫画だと感じます。 お二人の次作がどんなものになるか分かりませんが、学園内でやってる恋愛だけにとどまらないような物語を期待してしまう。 人の気持ちの機微をもっとダイナミックに描いてもいいと思う。 ていうか夏の終わりとともにこの連載が終わったので、もうそろそろ3ヶ月が過ぎる。 なのにまだ新連載が始まらない〜〜〜!!! 何がショックって付録につく来年のカレンダー発売号に桃鉄先生の作品がないこと! 菜の花も終わってるから当然ないし、新連載もまだだから載ってない。 カレンダーってすっごく楽しみにしてたのでものすごく残念です。カレンダーに間に合うくらいで新連載してほしかった、というのはちょっと酷すぎますかねw まあ人によっては前作から1年とか空ける方もいらっしゃるし、マーガのレギュラー先生方の連載と連載の間休みの平均は5〜6ヶ月くらいなんで、始まるのはもう少し後なのかな。 早くまた楽しみが増えてほしいです。 その作品にハマったらまたこうして感想を書く日々がやってくるのかもしれないな、と思っています。 PR |
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